気象庁の特別警報・警報・注意報の違いと重要性

気象庁現業室

近年、自然災害のリスクが増加する中、私たちの命を守るためには、気象庁が発表する「警報」や「注意報」の意味と活用方法を理解することが重要です。

これらの情報は、災害の危険度や発生可能性を伝え、適切な行動を促すための指針となります。

本記事では、特別警報を含む各種警報・注意報の特徴や発表基準について分かりやすく解説します。正確な情報を把握し、災害に備える力を身につけましょう。

記事の最後に、私の気象台勤務での体験として、自治体担当者への聞き取り調査についても記述しています。ぜひご覧ください。

特別警報は、「数十年に一度の重大な災害」が予想される際に発表される、極めて重要な警報です。

この警報は、命に関わる危険が迫る状況であり、避難や緊急対策が必要とされます。大雨や暴風など、地域に大きな被害をもたらす可能性があると判断された場合に発表されるため、最大限の警戒が求められます。

この警報の重要性を理解することで、適切な行動を取ることができ、命や財産を守ることにつながります。

注意報とは

災害のリスクはあるものの、被害が大きくなる可能性が低い状況で発表され、住民に対して注意を促す段階です。行動の準備をする目安となります。

警報とは

重大な危険が予想され、災害発生の可能性が高い状況で発表されます。避難や具体的な対策を講じる必要がある、より緊急度の高い段階です。

特別警報とは

「数十年に一度の重大な災害」が予想される際に発表される、極めて重要な警報です。この警報は、命に関わる危険が迫る状況であり、即時の避難や緊急対策が必要とされます。大雨や暴風など、地域に大きな被害をもたらす可能性があると判断された場合に発表され、最大限の警戒が求められます。

自分が住んでいる場所で雨があまり降っていないのに大雨注意報や警報が発表されることがありますが、これは予防的な措置として発表されることが多いです。

気象庁は、最新の気象データや予測モデルを用い、将来的に注意報や警報が必要となる可能性があると判断した場合に事前に発表します。この判断には、雨雲の動きや気圧配置、地形など複数の要因が含まれます。

つまり、実際に雨が降り始める前にリードタイムを確保することで、地域住民や防災機関に十分な準備時間が提供されるようにしているのです。

気象注意報・警報のリードタイム(先行時間)とは、注意報・警報が発表されてから実際にその基準に達するまでの時間です。この時間により、人々や防災機関(自治体など)は必要な準備を行うことができます。

短時間で発生する強い雨に関する注意報・警報は通常、2〜3時間のリードタイムがあります。一方、雨以外の注意報や警報(例えば強風注意報や暴風警報)については、3〜6時間程度のリードタイムが確保されることが一般的です。

ただし、急な積乱雲の発達など、リードタイムが短い場合もあります。そのため、リードタイムがあるから大丈夫と安心せず、早めの準備が重要です。

大雨特別警報は、命を守るための非常に重要な警報で、広範囲にわたり「数十年に一度」の重大な被害をもたらす恐れがある大雨が予想された際に発表されます。

基準には、過去の大雨災害のデータや、現在の気象データ、さらに予測モデルをもとに危険度が評価され、命に関わるリスクが極めて高いと判断された場合に限り発表されます。

大雨特別警報が発表された際は、特に浸水や土砂災害、河川の氾濫の可能性が高まっており、即座に避難が求められる緊急性を伴います。

大雨特別警報は、土砂災害や河川の氾濫など、広範囲にわたる重大な災害のリスクが高まった場合に発表されるものです。

この警報は、地域ごとの「土壌雨量指数」や予測される降雨量が特定の基準を超える際に発令されます。基準は各地域で異なり、地形や気象条件が考慮されて設定されています。

特に土砂災害のリスクが高い地域については、1km四方のメッシュ単位で降雨基準が設けられ、その基準を超えると特別警報が発表される仕組みです。

気象等に関する特別警報の発表基準

出典:気象等に関する特別警報の発表基準 (https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/kizyun-kishou.html)

大雪特別警報は、数十年に一度の降雪量となる大雪が予想され、地域に深刻な影響を及ぼす恐れがある場合に発表されます。発表基準は以下の通りです。

降雪量について

  1. 予想される降雪量が48時間以内に30センチメートル以上になると見込まれる場合。
  2. 地域によっては、降雪量が特に多くなる可能性がある場合も考慮されます。

影響の予測

  1. 大雪によって交通機関の運行に支障をきたす可能性や、住民の生活に大きな影響を与える場合。
  2. 特に、公共交通機関の遅延や停止、または物流への影響が予想される際。

風の強さについて

大雪とともに強風が予想される場合、視界不良や吹雪の状況が想定されるため、特別警報が発表されることがあります。

過去の気象データとの比較

過去の気象データを基に、特定の地域での大雪の発生頻度や影響を分析し、異常な状況であると判断される場合。

気象庁では、特別警報・警報・注意報に関するリアルタイム更新や、過去の履歴、統計情報も検索できるデータベースを提供しています。

このデータベースを利用すると、過去にどの地域でどのような気象警報が発表されたか、その頻度も含めて確認でき、防災対策の参考に役立てることができます。詳細は以下のリンクからご覧ください。

気象警報データベース

現在発表中
特別警報・警報・注意報 http://agora.ex.nii.ac.jp/cps/weather/warning/ ← クリック

過去の履歴
大雨特別警報 http://agora.ex.nii.ac.jp/cgi-bin/cps/warning_list.pl?kcode=33 ← クリック

1. 注意報が出たとき

注意報は「注意が必要な状況」を知らせるものです。この段階ではすぐに避難する必要はありませんが、ニュースや天気予報をチェックし、災害に備える準備をしましょう。例えば、必要なものをリュックにまとめたり、家族や近所の人と避難場所を確認しておくと安心です。

2. 警報が出たとき

警報は「危険が迫っている」ときに出されます。この場合は、すぐに行動が必要です。自宅が危険な場所にある場合や、避難指示が出ている場合は、指定の避難場所に避難してください。体力に不安がある方や高齢者は、早めに家族や近所の人に助けを頼み、一緒に安全な場所に避難しましょう。

3. 特別警報が出たとき

特別警報は、警報の基準を大きく超える大雨が予想される場合に発表され、最大級の警戒を呼びかける警報です。2013年8月30日から運用されています。

特別警報が発表された場合は、数十年に一度の重大な危険が迫っているため、以下の対応を取ることが重要です。

すぐに安全な場所へ避難
特別警報が出たら、ためらわずに避難を開始。ただし、外に出るのが危険な状況のときは外に出ないようにしてください。
避難指示が出ている場合は、指定の避難場所へ向かいましょう。

避難場所に行けない場合
自宅に留まる必要がある場合は、2階以上の頑丈な部屋や崖・川から離れた場所に移動。

助けが必要な場合
高齢者や体力に不安のある方は、家族や近所の人に助けを求め、一緒に避難しましょう。

外出が危険な場合
外に出るのが危険な状況では、自宅内でできるだけ安全な部屋に移動し、引き続きニュースや気象情報を確認。

早めの行動が命を守る
特別警報が出たら、命を守るために素早い行動が必要です。

自分が住んでいる場所で雨があまり降っていないのに、大雨注意報や警報が発表されることがありますが、これは予防的な措置として発表されるからです。

気象庁は、最新の気象データや予測モデルを使用して、将来的に大雨注意報や警報が必要となる可能性があると判断した場合に、事前に発表します。この判断には、雨雲の動き、気圧配置、地形との相互作用など複数の要因が含まれます。

つまり、実際に雨が降り始める前に(リードタイム)、地域住民や防災機関(自治体など)に十分な準備時間を確保するために、早めに注意報や警報が発表されるのです。

気象注意報・警報のリードタイム(先行時間)とは、注意報・警報が発表されてから実際にその基準に達するまでの時間です。この時間により、人々や防災機関(自治体など)は必要な準備を行うことができます。

短時間で発生する強い雨に関する注意報・警報は通常、2〜3時間のリードタイムがあります。一方、雨以外の注意報や警報(例えば強風注意報や暴風警報)については、3〜6時間程度のリードタイムが確保されることが一般的です。

ただし、急な積乱雲の発達など、リードタイムが短い場合もあります。そのため、「リードタイムがあるから大丈夫」と安心せず、早めの準備が重要です。

私が地方気象台に勤務していたころ、発表した警報の妥当性やタイミングについて事例検討会を実施していました。(すべての地方気象台が実施しているわけではありません。)

この検討会では、警報の発表や解除が適切だったかを振り返り、今後の改善に役立てることを目的としています。

また、警報を発表した自治体を訪問し、市町村の防災担当者から意見を伺う「聞き取り調査」も行っていました。この調査では、警報の発表・解除のタイミングが適切だったか、警報が防災活動に役立ったかなどの意見を収集します。

市町村側からは、「警報が出ると体制を整えるのに時間がかかるため、早めの発表を希望する」という要望がある一方、「空振りの警報が増えると、職員や消防団の出動が増え、予算がかかるので無駄な警報(空振りの警報)は減らしてほしい」という意見も聞かれました。

これらのフィードバックを受けて、気象台では警報発表のタイミングや基準についての改善を検討し、市町村の防災活動を支援しつつ、より効率的な警報発表を目指し、精度の高い警報を提供するために取り組んでいました。

気象庁が発表する「特別警報」「警報」「注意報」は、私たちの命と財産を守るために極めて重要な情報です。それぞれの違いや基準を理解し、発表されるリードタイムを活用することで、緊急時に適切な行動が取れるようになります。

また、気象データと防災情報を常に確認し、最新の情報をもとに早めの備えを行うことが、災害から身を守るための重要なステップです。これらの知識を日頃から意識し、地域や家庭で防災対策を進めておくことで、災害時の被害を最小限に抑えることが可能です。

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