大雨や台風の際には、多くの気象警報や情報が発表されます。これらの情報は私たちの安全を守るために重要ですが、多くの情報の中で、どれが大切なのか、どう対応すれば良いのか迷うこともあります。ここでは、自分の住んでいる地域の災害リスクを把握し、特に見逃してはいけない気象警報や情報について説明します。
災害リスクを把握する
事前に自治体から毎年配布されるハザードマップを活用し、自宅や学校、勤務先などがどのような災害のリスクがあるのかを把握しておくことが重要です。
自治体(市町村等)からは、洪水、土砂災害、高潮、地震、津波、火山などのハザードマップが配布されます。ここでは、特に気象に関係する洪水、土砂災害、高潮のハザードマップについて説明します。
ハザードマップの見方
ハザードマップで色が付いている場所は災害の危険性が高い場所です。自宅や学校、勤務先などがそのような場所にある場合、どのような災害のリスクが高いのかを把握しましょう。また、避難する際の避難所までのルートも確認しておきましょう。
ハザードマップで色が付いていない場所であっても、必ずしも安全が保証されているわけではありません。特に、危険区域の近くにいる場合や、安全区域であっても予想を超えて広範囲の災害が発生する可能性もあるため、注意が必要です。
自宅や学校、勤務先などが警戒区域(色が付いている場所)に入っている場合
それぞれの警戒区域ごとに、注意すべき気象警報や警戒レベルが異なります。
警戒レベルに基づいて発表される気象警報や情報、また自治体からの避難指示などを見逃さないようにしましょう。以下に、警戒区域ごとに注意すべき気象警報や情報、自治体から発表される可能性のある避難指示等について記載します。
土砂災害警戒区域や特別警戒区域(注意すべき気象警報や情報)
警戒レベル3 : 大雨警報(土砂災害)
自治体からの高齢者等避難指示
警戒レベル4 : 土砂災害警戒情報
自治体からの避難指示
警戒レベル5 : 大雨特別警報(土砂災害)
自治体からの緊急安全確保
浸水想定区域(注意すべき気象警報や情報)
警戒レベル3 : 洪水警報
氾濫警戒情報(指定河川洪水予報)
自治体からの高齢者等避難指示
警戒レベル4 : 氾濫危険情報(指定河川洪水予報)
大雨特別警報(浸水害)
自治体からの避難指示
警戒レベル5 : 氾濫発生情報(指定河川洪水予報)
自治体からの緊急安全確保
高潮浸水想定区域(注意すべき気象警報や情報)
警戒レベル3 : 高潮注意報、強風注意報
自治体からの高齢者等避難指示
警戒レベル4 : 高潮警報、暴風警報
自治体からの避難指示
警戒レベル5 : 自治体からの緊急安全確保
災害発生前の前兆現象に気を付けて!
土砂災害が発生する直前には、異常を知らせる前兆現象がある場合があります。警戒レベルに関係なく、「いつもと何か違う」と感じたら市町村に連絡して避難をしてください。例えば以下の現象です。
- 木の裂ける音や大きな岩の流れる音が聞こえる
- 渓流の水位が急激に減少する
- 異様な匂い(土臭い、焼ける匂いなど)がする
- 斜面に亀裂ができる
- 小石が斜面から落ちる
- 斜面から異様な音や地鳴りが聞こえる
- 普段澄んでいる湧き水や地下水が濁る
- 地面に亀裂や段差が発生
- 戸の締まりが悪くなる
私の経験では、大雨の前に異様な匂いがしたことがあります。海水のような匂いでした。その後、大雨となり、降雨強度が100mm/h(1時間に10cmの雨量)を超えると、周囲が緑っぽくなりました。まるで海の中にいるような感覚でした。
5段階の警戒レベルと防災気象情報
上図は5段階の警戒レベルと防災気象情報を示した図です。
気象状況に応じて、図の下から上にレベルが上がります。
警戒レベル4までに必ず避難しましょう。
警戒レベル5ではすでに激しい雨が降っている可能性があり、屋外に出るのは危険です。裏山がある住宅では、山側の部屋から離れることが大切です。浸水想定地域では、1階から2階に避難するなどの行動をとってください。
災害に備えて事前に確認すべき事項
事前に次のことを確認し、災害に備えましょう。
- 非常用持ち出し品の点検
- 雨や風が強くなる前に家屋の補強
- 避難場所までの道順の確認
- 日頃からハザードマップで危険箇所や避難場所のチェック
- 危険を感じたり、市町村長からの避難指示があった場合は速やかに避難
気象警報や情報を入手する方法を確認し、保存しておきましょう
気象警報や情報を迅速に入手する方法を確認し、スマホやパソコンのブックマークにサイトを保存しておきましょう。また、各気象会社のスマホアプリでも情報を確認できます。
以下、気象警報や情報を入手できるサイトを紹介します。
- 気象庁 | 全国の防災情報
ページが開けば、上部のタグから ”都道府県選択” をクリックしてください。
https://www.jma.go.jp/bosai/#pattern=default&area_type=japan&area_code=010000 - 各市町村のホームページ
すぐに情報を確認できるよう事前にURLを確認しておきましょう。 - 各自治体防災情報 防災情報のページ 内閣府
https://www.bousai.go.jp/simulator/list.html - ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/ - 土砂災害から身を守るには
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/doshyasaigai.html - 地方気象台のホームページ
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/link/link1.html - 気象庁 防災情報メニュー
https://www.jma.go.jp/jma/menu/menuflash.html - 国土交通省 “気象”×”水害・土砂災害” 情報マルチモニタ
https://www.river.go.jp/portal/?region=80&contents=multi - キキクル(危険度分布)
https://www.jma.go.jp/bosai/risk/#lat:34.034453/lon:134.978027/zoom:5/colordepth:normal/elements:land - 気象庁 台風情報
https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#6/18.569/112.305/&elem=root&typhoon=all&contents=typhoon
まとめ
災害時には、適切な情報を早めに入手し、迅速に対応することが非常に重要です。自宅や学校、勤務先などの災害リスクを把握し、ハザードマップを参考にして、安全な行動を心がけましょう。
災害リスクの少ない地域に住んでいる方も、各警報の意味を理解し、必要な時にはすぐに避難することが大切です。想定外の災害に備え、常に注意を払い、適切な準備をしておきましょう。
気象庁では2026年に防災情報の運用を見直す方針を示しています。見直しの際にはこの記事を更新します。このブログが、皆さんの安全な生活に役立つことを願っています。