活断層の基礎知識:地震発生メカニズムと注意すべき地域を解説

断層イメージ図

日本には多くの活断層が存在し、これが地震を引き起こす原因となることがあります。
この記事では、活断層の種類やリスクの高い地域、そして地震発生のメカニズムについて詳しく解説します。地震のリスクを正しく理解し、適切な対策を取るための情報を提供します。

活断層には、地面のずれ動きを示す「断層運動」があり、大きく分けて2つのタイプがあります。これらはさらに詳細な種類に分けられます。

  1. 縦ずれ断層
    地面が上下にずれる断層で、さらに以下の2つの種類があります。
    逆断層: 地面が上に押し上げられるタイプの断層です。
    正断層: 地面が下にずり落ちるタイプの断層です。
  2. 横ずれ断層
    地面が左右にずれる断層で、断層の向こう側の地面が右または左にずれます。
発震機構解と断層面
出典:気象庁 発震機構解と断層面
(https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/mech/kaisetu/mechkaisetu2.html)

上記の図は、上から逆断層型、正断層型、横ずれ断層型のメカニズムです。

 地面の岩の中には、たくさんの「断層」という割れ目があります。普段はこれらの断層がしっかりとかみ合っていますが、大きな力が加わると、断層がずれてしまいます。このずれが「断層活動」と呼ばれ、その衝撃が震動となって地面に伝わり、これが地震です。

地震の規模は「マグニチュード」で示されます。マグニチュードが1増えると、エネルギーは約32倍になります。一方、「震度」は揺れの強さを示し、震源からの距離によって変わります。

地震の「マグニチュード」と「震度」を、電灯の明るさで例えてみましょう。
たとえば、20Wの電灯と40Wの電灯を比べると、40Wの電灯の方が明るく、照らされる範囲も広くなります。
この場合、電灯のワット数がマグニチュードに相当し、机の上の明るさが震度に相当します。

同じ電灯でも、机から遠ざかると明るさが減るように、地震も震源から離れるほど揺れが小さくなります。つまり、マグニチュードが大きいほど破壊の規模が大きくなり、震度は震源からの距離によって変わります。

断層帯の図
出典:文部科学省 地震調査研究推進本部
(https://www.jishin.go.jp/main/img/hyoka_katsudanso.png)

地震調査研究推進本部が2024年1月15日に発表した長期評価によると、日本全国で最も危険度が高い「Sランク」の活断層帯は31箇所存在します。

これらの活断層帯は、地図上で赤い線で示されています。以下に、これらの「Sランク」の活断層帯を一覧表として掲示します。
(注意)このランク分けに関わらず、日本ではどの場所においても、地震による強い揺れに見舞われるおそれがあります。


北海道
サロベツ断層帯
・黒松内低地断層帯
山形県
・新庄盆地断層帯(一部区間)
山形盆地断層帯(一部区間)
・庄内平野東縁断層帯(一部区間)
新潟県
櫛形山脈断層帯高田平野断層帯(一部区間)
・十日町断層帯(一部区間)
富山県
・礪波平野断層帯・呉羽山断層帯(一部区間)
石川県
・森本・富樫断層帯
神奈川県・静岡県
・塩沢断層帯
神奈川県(三浦半島と周辺海域)
・三浦半島断層群(一部区間)
長野県・山梨県
・糸魚川‐静岡構造線断層帯(一部区間)
長野県
・境峠・神谷断層帯(一部区間)
長野県・岐阜県
・木曽山脈西縁断層帯(一部区間)
静岡県
・富士川河口断層帯(一部区間)
岐阜県
・高山・大原断層帯(一部区間)
岐阜県・長野県
・阿寺断層帯(一部区間)
滋賀県
・琵琶湖西岸断層帯(一部区間)
京都府・奈良県
・奈良盆地東縁断層帯
大阪府
・上町断層帯
奈良県・和歌山県・兵庫県(淡路島南部)・四国北部・大分県
・中央構造線断層帯(一部区間)
広島県・山口県沖合
・安芸灘断層帯
山口県・大分県の間の海底
・周防灘断層帯(一部区間)
山口県
・菊川断層帯(一部区間)
島根県
宍道(鹿島)断層
・弥栄断層
福岡県
・福智山断層帯
玄界灘から福岡平野
・警固断層帯(一部区間)
熊本県
・日奈久断層帯(一部区間)
長崎県
・雲仙断層群(一部区間)

未知の活断層が地震を引き起こすケースも増えています。
例えば、2004年の「新潟県中越地震」や2008年の「岩手・宮城内陸地震」では、新たに発見された活断層のずれが原因となりました。

また、2024年1月に発生した「能登半島地震」も、主要活断層帯として調査されていなかった石川県能登半島付近の活断層によるものと考えられています。

さらに、日本海側では海底の活断層も多く確認されており、どこで地震が発生しても不思議ではない状況です。

航空写真や掘削調査を使って活断層の位置や過去の地震履歴を調べ、将来の地震の規模や発生間隔を予測しています。しかし、過去のデータだけでは全てのリスクを把握するのは難しいです。

最近では、GPSデータを使って地震リスクを調べる新しい方法も進められています。この方法では、大地の動きを測定し、「ひずみ」のたまり具合を分析して地震の発生確率を計算します。

新しい分析では、例えば、西日本では、30年以内にマグニチュード6.8以上の大地震が発生する確率が九州南部で31%~42%と高い数値が出ています。
一方、従来の調査方法での確率は7%~18%で、差が大きいことが分かりました。

地震の長期予測はまだ発展途上で、今後はGPSデータを使ってより正確な予測ができるように研究が進められています。

地震への備え
出典:気象庁 地震から身を守るために https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/jishin_bosai/index.html

地震の揺れは突然襲ってきます。いつ揺れに見舞われても身を守ることができるように、屋内・屋外問わず周囲の状況や避難経路を確認し、揺れに備えましょう。
また、以下のポイントを参考に、地震への備えを進めましょう。

1.備蓄・非常持ち出し品の準備

地震が発生すると、生活必需品が手に入らなくなる可能性があります。まずは、以下のアイテムを用意しておきましょう:

  • 食料と水:最低でも3日分を目安に、保存が利く食品や飲料水を用意します。
  • 医薬品:常備薬や応急処置用の医薬品を揃えておきましょう。
  • 懐中電灯と電池:停電時に備えて、明るい懐中電灯と予備の電池を準備します。
  • 携帯ラジオ:地震情報を受け取るために、電池式の携帯ラジオが役立ちます。
  • 防寒具やレインコート:急な気温変化や雨に備えた服装も忘れずに。

2.安全スペースの確保

家の中で最も安全な場所を確認し、その周りを整理しておきましょう。以下の場所が推奨されます。

  • 家具の下や近く:頑丈なテーブルやデスクの下が安全です。
  • 壁際のスペース:倒れる可能性がある家具や物がない場所を選びましょう。

3.周囲の状況の確認

周囲の環境を確認し、地震発生時に備えましょう。

  • 避難経路の確認:避難経路や避難場所を事前に確認しておくことが重要です。
  • 建物の状態:家や周囲の建物が地震に耐えられるかどうか、事前にチェックします。

4.連絡手段の確認

地震が発生した際には、連絡手段が重要です。

  • 緊急連絡先の確認:家族や友人との緊急連絡先を確認し、全員が把握しておきましょう。
  • 携帯電話の充電:常に充電を十分にしておき、緊急時に使えるようにします。

5.家具の固定

家具が倒れると、怪我の原因になります。以下の方法で家具を固定しましょう。

  • 耐震キャビネット:家具の転倒防止用に耐震キャビネットを使用します。
  • 壁に固定:大型の家具は壁に固定して、揺れによる転倒を防ぎます。

6.訓練に参加しよう

地震が発生した際の行動を身につけるために、以下の訓練に参加しましょう:

  • 避難訓練:地域の避難訓練に参加して、実際の状況をシミュレーションします。
  • 応急処置訓練:応急処置や救助活動の訓練を受けて、緊急時に備えます。

日本には多くの活断層やプレート境界が存在し、常に地震リスクが伴っています。
活断層の種類や地震発生のメカニズムを理解することは、リスクを正しく認識し、適切な対策を取るために重要です。

地震は、地下に蓄積されたエネルギーが断層のずれなどによって解放されることで発生します。特にリスクが高い地域に住んでいる場合は、地震への備えが欠かせません。非常持ち出し袋の準備や避難経路の確認など、日頃から地震対策を行うことで、被害を最小限に抑えましょう。

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